
千円前後から一万円をこえるものまで、いろいろな値段のものが売られている、話題の「アンセリン」。
アンセリンには、尿酸値をさげる、炎症をおさえるなどの効果がうたわれています。
しかし、検証してみたところ、効果なしであることがわかりましたので、このページでお伝えします。
アンセリンとは、なんでしょうか。
アンセリンとは、マグロやカツオ、サケなどの長距離を泳ぐマラソン選手のような魚の筋肉に多くふくまれているといわれているタンパク質のひとつです。
ほかにも、鳥の筋肉にも多くふくまれています。
鳥は空を飛んでいる時間が長いですし、そういう意味ではやはりマラソン選手のような筋肉が必要です。
そんな長時間働きつづけることのできる筋肉に含まれているのがアンセリンです。
そんなアンセリン、2010年ごろから、尿酸値をさげる効果があるとして、食品会社やサプリメント会社がこぞって研究を開始しています。
今では、それだけではなく、疲労からの回復を早める効果があるとか、炎症をおさえる効果があるとか、効果の幅がかなり広がっています。
それにともなって、いろいろな会社からたくさんのアンセリンがふくまれているサプリメントが発売されています。
通販サイトで「アンセリン」と入れて検索すると、100を超える商品が見つかります。
本当にそんなにたくさんの効果があるのでしょうか?
動物実験の効果すら疑問!
サプリメント会社も、食品会社も、いきなり人間で実験するわけにはいきません。
そのため、最初は小さな動物を使って実験することになります。
そういった動物実験で活躍しているのは、ネズミです。
疲労からの回復を早めるという効果について少し調べてみました。
2014年に日本食生活学会誌に発表された論文によると、ネズミを強制的に泳がせて、その時間を計ったところ、泳ぐ時間が延びたとありました。
しかし、実験の結果をしめすグラフや表は論文のどこにも載せられていません。
実験で意味があることを示す「有意差※」について、なにも書いてないのです。
注)有意差:Aという物質を使った場合とBという物質を使った場合を比べて、科学的に意味のある差があることを「有意差がある」といいます。
逆に、科学的に意味がある差がなかったということは「有意差がない」といいます。
文章の中でも「効果が推測された」という書き方をされていて、効果があります!とはどこにも書いていません。
「効果がある」と言ってくれないと意味がないのですから、それ以外は全て「効果なし」と判断してかまいません。
動物実験ではアンセリンの効果をしめす証拠はないのです。
人間に対しての効果も疑問だらけ!
マラソンのあと、野球のあと、疲れた〜と動けなくなるようなことは誰にでもありますよね。
ここを読んでくれているみなさまには、そういったアンセリンを飲んでからスポーツをすることで疲れにくくなったりしないだろうか、といった期待があると思います。
でも値段のわりに効果がなかったらどうしよう・・・と思われて、ここに立ち止まってくださったことと思います。
はっきりとお伝えします。これについても効果なし!です。
先ほどあげた論文の中では筋肉に針を刺して電気の流れを図り、それが少し改善した、と書かれています。
これは人間に対して行われた実験ではあります。
ですが、計らないとわからないようなささやかな電気の伝わりかたの違いを、効果として実感できるわけがありません。
実感できないということは、効果なしと感じる、ということです。
では尿酸については人間で実験が行われているので調べてみました。
結果としては、多くの量のアンセリンを飲めば、尿酸値は下がるそうです。有意差もわずかですがあります。
でも、載せられているグラフにはカラクリがあります。
ほんのわずかの差が大きく見えるように工夫されているのです。
そのわずかの差は、血液検査では数字では出てこないような小さなものです。
アンセリンを飲んだからといって、薬での治療が必要な人が、必要なくなるということは全くありません。
アンセリンが効果なしのまとめ
同じ魚から取れるものでも、魚の油として有名なEPAは中性脂肪を下げるという効果があって製薬会社から薬として売られています。
この10年間の間のアンセリンの研究は、ほとんど全てが食品関係、サプリメント関係の会社によるものでした。
それは、薬となるだけの効果がないから、製薬会社はお金をかけた研究をしないのです。
薬として認められないものを製薬会社が研究することはありません。
アンセリンは10年たっていますが、いまだにサプリメントの範囲を出ません。
論文を調べても効果についてはにおわせるだけで効果があると認められる証拠は見つかりませんでした。
アンセリンは効果なし!サプリメントとして買うなら自己責任で!
この範囲を跳びこえるものではありません。
しかし、アンセリンを飲みすぎたことで悪いことが起きたという報告もありませんでした。
ですから、飲んでいることで安心できる、飲んでいることで効いている気がする、といった効果を実際に感じておられるのであれば続けても害はないでしょう。
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